気まぐれ猫くんの手懐け方
バトンを渡し終え、いよいよあいつへ向かってバトンが動き始める。
あいつにバトンが回ってこっちまで走ってきたら、いよいよ俺の番だ。
「…半周じゃ、この差は縮めるの無理かもな」
いよいよあいつにバトンが渡ろうとしたときだった。
「三毛!!」
「!?」
いきなり大きな声で呼ばれ、思わず肩をびくつかせた。
「は!?バカなの!?」
なんでアンカーのお前がこっちきてんの!?
俺がお前にバトンを渡すんだから、あいつと一緒のスタート地点である向こうにいなきゃなんないはずなのに。
アンカーであるはずの犬が、切羽詰まった顔して俺の方へ走ってきていた。
「頼む!」
「!?」
「アンカー、代わってくれ!!」