気まぐれ猫くんの手懐け方

ばかばかしい。

頑張ったって、なにも。


なにも、いいことは残らない。


だってそうじゃん。


…時間の、無駄。


目の前を、1位の組が走り出していく。

トラックを見れば、2位争いをしながら必死に走ってくる犬。


「行ってこい三毛!!」


そう言って、バトンを伸ばしてくる。

俺は、その数歩手前でぐんと加速して前を見据えた。


「黙って走ってろ犬!」


犬から俺へのバトン渡しの練習なんてしていないはずなのに

あんなに嫌いな奴なのに


このときのタイミングはしっかり合っていて。


犬が競っていた他2人をすぐに追い越した。



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