気まぐれ猫くんの手懐け方

だってあんなにやる気なかったじゃない。


あんなに、頑張るの嫌そうだったじゃない。


両手で頬を押さえて、視線だけ猫くんに向ける。


今日も変わらず大きなピンクのピンでサラサラとした前髪を留めている。

小顔で女の子顔負けの可愛い雰囲気の彼が。

口を開けばひどいことしか言わない毒舌な彼が。


リレーであんな走りを見せてくれるなんて。


ゴールした後苦しそうに膝に手を当てて必死に深呼吸していた所なんて本当にもう萌え…


「って、何考えてるの私……!?」


『萌え』ってなによ!!


いや、今こうしてすやすや寝ている猫くんも可愛いけど!!

可愛いけども!!!


「……っ」


なんでこんなに猫くんのことになると、自分が自分じゃなくなるんだろう。


どんどん熱を帯びていく顔にどうすることもできず、私は机に突っ伏す。

机のひんやりした感じが気持ちいい。


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