気まぐれ猫くんの手懐け方

「ううう……」


そして、猫くんがいる方とは逆の方を向いてほっぺたの熱を冷まそうと試みる。


そりゃあ、今までだってあんまり…というか全く話したことなくて。

今回の体育祭の準備のことで少しずつ話すようになって。

猫くんが毒舌なことはすぐにわかったけど、たまに見せる可愛い仕草とか、かっこいいところ…とか。


少しずつ猫くんのことを知る度に、こうもドキドキするのは何でだろう。


それに私、こんなキャラじゃない。

こんなことでドキドキしたりするような自分は、知らない。


普通に話していたのに、急に恥ずかしくなってうまく話せないとか、顔を見ることができないとか…そんなこと今までなかったのになあ。


ドキドキして、恥ずかしくて。


なんて話したらいいかわからなくて。

顔をみることすら恥ずかしくて。


………だけど、近くにいたくて。


「………」


そっと、猫くんの方に顔を向ける。

ほっぺたの熱のせいで、冷たかった机はほんのりあったかくなってしまっていた。



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