気まぐれ猫くんの手懐け方
「じゃあ最後!横断幕の作成ですが、絵の得意な人はいますかー?」
私のこの質問に対しては、さすがに手を挙げる人はいなくて。
「はーい、みんなでそれぞれ横断幕のイメージを描いてきて投票して決めるのはー?」
と、梨乃が助け船を出してくれる。
「あ、いいねそれ。一人一人、紙に横断幕のイメージを考えてきて下さい。作るのも時間がかかるので明日また話し合いたいと思います」
それで大丈夫でしょうか、と最後に声をかければ。
「いいでーす!」
みんなの協力もあり、時間が余った。
私は席に戻り、明日の授業の予習をしようと教科書を取り出す。
隣を見れば、頬杖をついてぼーっと黒板を眺めるかわいい男の子がいた。
朝はあんなに気持ちよさそうに寝てるのに、授業中はしっかり起きてるから不思議。
てっきり居眠りでもするのかと思っていたけど。
そう言えば、この人は絵とか得意なのかな。
足は…遅そうだなあ。
なんていろいろ考えながら、彼の横顔を見つめていたとき。