気まぐれ猫くんの手懐け方

俺にはないけど


「おはよう陽愛~!」

「梨乃、おはよう」


いつものように、校門で梨乃が待っていてくれていた。

昨日は久しぶりにぐっすり眠れた。

たくさん玲央くんとスポーツして遊んで、適度な疲れが心地よかった。


「なんか、いいことあった?」


今日もばっちりメイクの梨乃が、ずいっと私の顔をのぞき込んでくる。


「え?いや、特にコレと言ってないけど…?」

「や、なんか珍しくすっきりしたような表情してる!」

「えええ、いつももやもやしてる人みたいに言わないでよ梨乃」


そんなやりとりをしながら教室まで歩いている私たち。


「おっはよ~!!」


梨乃が教室のドアを開けて元気よく挨拶をして入って行く。

それに続いて私も教室に入り、自分の席に着く。


「……」


いつものように、すやすやと眠っている猫くん。



< 87 / 273 >

この作品をシェア

pagetop