気まぐれ猫くんの手懐け方
***

その日の昼休み。


「ちょっと陽愛!?」

「どうしたの梨乃!?」


席を立った私の元へ、ものすごい剣幕で近づいてきた梨乃が私の腕をつかんできた。


「どういうこと!?玲央とデートしたの!!?」

「いや、デートとかそう言うのじゃないし…ていうかなんで知ってるの…?」

「噂で聞いた!!玲央のファンクラブの子たちが嘆いてた!!」

「あ、はは……」


恐るべし玲央くんファンクラブ。

それに、梨乃もそんな鬼のような顔して真剣に聞いてこなくても。

梨乃には後で話すつもりだったんだけどなあ。


「や、ほんと玲央くんいい人だったよ…」

「陽愛」


観念して昨日のことを話そうとしたとき、ちょうど玲央くんが私たちの元へ近づいてきた。


「あ、玲央くん…」

「悪い、さっき返しそびれちまって」


そう言って玲央くんが何かを差し出してきた。


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