気まぐれ猫くんの手懐け方

「これ、サンキューな。帰ってソッコー洗濯したから、早く返せてよかった」


玲央くんが差し出してきてくれたのは、私が昨日貸したハンカチだった。


「ああ、急がなくてもよかったのに…でも、わざわざありがとう」


それを受け取れば、玲央くんは手を挙げて「じゃあ」と言って友達のいる方へ行ってしまった。

玲央くんから返してもらったハンカチからは、私の使っている柔軟剤とはまた違う、いい香りがして。


「……しかもなに!?ハンカチまで貸すとか…超いい雰囲気じゃない!?」

「いや、雰囲気も何も私と玲央くんはそんなんじゃないし」


玲央くんから渡されたハンカチを机にかかっている鞄にしまおうとしたときだった。


「!? あれ!!?」


しっかりと手に持っていたはずのハンカチが姿を消してしまった。


「!?」


気づいたら、目の前でハンカチが中を浮いていた。

……訳ではなく。


「……!?」


ハンカチの先には、ピンクと黄色のカラフルな色をしたハンドキャッチャーが。

そしてそのハンドキャッチャーを操っているのは……


「猫くん……?」


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