気まぐれ猫くんの手懐け方

なぜか、隣の席の猫くんだった。


「か、返して~!!」


しかし、猫くんがハンドキャッチャーを高らかに上にあげるものだから、全く届かなくて。


「困ってるーうけるー」


まったくうけてないでしょ!!っと思わず突っ込んでやりたくなるほどの棒読みっぷり。

かたや梨乃は、そんな私たちのやりとりをにやにやしながら見つめている。


「ニヤニヤしてないで助けてよ梨乃~!!」

「ちょっとあたし化粧なおしてくるね陽愛~♪」


私の助けを求める声もむなしく、梨乃は楽しそうに化粧ポーチを持って行ってしまった……。


「あの…ハンカチ…返して……?」


恐る恐るそういえば、猫くんはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。


「…飲み物」

「……へ?」

「買ってきてって…言ったよね?」

「え、あれって本当だったの…?」


私が固まっていると、猫くんがハンドキャッチャーの先にある私のハンカチを窓の方へ向ける。


「一分以内に買ってこないとハンカチ落とすよ」

「行ってきます!!!」


条件反射でつい教室を出てきてしまったけど。

自販機に向かって走りながら思った。

……“行ってきます”じゃないでしょ私!!!?



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