赤色の夕日【短】
「小さい頃、小1くらいだっけかな。
友達とかくれんぼしてたんだ。そしたらさ、誰かが泣いてる声がきこえてきて、聞こえる方に行ってみたら俺より小さい子が泣いてたんだよね。お母さんとはぐれちゃったって言ってた。確かに周りにお母さんらしき人がいなくて、とりあえず一緒に歩いてた。」


━「ゆゆね、保育園でね、お友だちできたの!すごいでしょー!」

「お友だち?そうだね。すごい!」

「えへへ。ゆゆね、ほんとはゆゆのって言うんだよ。でもね、みんながゆゆって呼ぶの。だからゆゆもゆゆって言うんだけど、どうしてかなぁ。」

「ゆゆのちゃんっていうんだね。それはね、あだ名って言うんだよ。」

「あだな?」

「そう。大きくなったらわかるよ。」

「うん!あっ、おかあさぁーん!」


━「そのゆゆのちゃんが少し笹原さんに似てたんだ。」


「そう…なんですか。」

ほんとのところ、多分そのゆゆのちゃんは私のこと。

あんまりよく覚えてないけど、そんなことがあったという記憶がなんとなくある。

だけど、確信はないし、人違いと言うことでその話は終わった。
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