メモリーズ


――んっ……


ふと目が覚めて、真っ暗な部屋の中をまだ冴えない目を擦りながら見渡す。


「―――どこ…?」


自分の部屋とはまるで違う空気感に疑問を感じて昨日のことを思い出してみようとしたけれど、案の定、何も覚えてはいなかった。


しかし確信して言えることは、今私の隣で向こうを向いて寝ている男とヤってしまったということだ。


少し暗闇に慣れてきた目を頼りに、男を起こさないようにベッドから抜け出し、床に落ちてあった白の下着とワンピースを着て、それから壁をつたってドアの前まで歩いていく。


そこには自分のバッグが投げ捨ててあった。


「…生々しいわ」


と、心の中でツッコミを入れながら、バッグの中からスマホを出して、その明かりを頼りに玄関のドアから外に出た。



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