メモリーズ
「ううっ…」
「まぁまぁ紗和ちゃん、ほらっ、泣き止んで?」
「もう若松先輩なんか嫌いやもん!」
「おおそれは残念だなぁ。まぁ俺のこと見て見ぬふりするのが悪いんだぞ?紗和ちゃん?」
「なぁこれがお前が言ってたイイモノなのか?」
「そうなんすよ。山瀬は酔うと関西弁になるんですよね」
くそう…ずっと秘密にしておくつもりだったのに。
学生時代、飲み会で私は酔いが回ってくると話し方が地元の関西弁に戻ることが発覚したのだ。
そのときに若松先輩がいて、それから事あるごとに私を酔わせて楽しんできた。
「山瀬さん…可愛いな」
「もうほんまやめてな?坂木くん誰にも言わんとってな?」
「だろ?坂木、こいつこんな澄ました顔してるクセに実は必死に標準語話してて可愛いんだよ」