メモリーズ


残りが少なくなったビールジョッキの見つめながら、次は何を飲もうかと考えていれば山瀬さん、と向かいから声を掛けられた。


「えっと、坂木くん、だよね?同期の。これからよろしくね」


「おう、こちらこそ!でもまさか俺のこと知っててくれたとは…」


「え?」


すると坂木くんは何故か恥ずかしがるように顔を赤くして話し出す。


「いや、その…山瀬さんはクール美人って感じで話し掛けにくくて…。それに山瀬さんと話したことある奴ってあんまり聞かないから」


坂木くんの話を聞いて、やっぱりそうなのか、と思った。


元々、活発な性格ではないし、ワイワイと楽しくやっている中に入っていく勇気もない。


それに、普通にしているだけで澄ましている、話し掛けるなオーラが出てるなどと言われることもざらにある。


この性格どうにかならないかな、と悩んでいると隣からクスクスと笑い声が聞こえた。


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