メモリーズ
「やっぱり相変わらずなんだな、山瀬」
「煩いですよ、後輩が困ってたら助けるのが普通なんじゃないですか?若松先輩」
「なんだ、お前ら知り合いなのか?」
渡部さんにそう聞かれ、先輩が大学の後輩だと答える。
「お前会議室入ってきたときから気付いてただろ、俺のこと」
当たり前じゃないですかと答えると、だったらなんで声掛けないんだよと言って拗ねられた。
理由はわからないけれど、若松先輩は私を可愛がってくれていて、あまり人と仲良くなれない私が大学生活を楽しく過ごせたのはこの人のおかげだと言っても過言ではない。
「あっ、そうだ。後でみなさんにイイモノをお見せするんでもっとお酒呑みましょう!」
そう言って若松先輩は私の方を横目で見てニヤリと微笑んだ。
…嫌な予感しかしない。
「あの、若松先ぱ…」
「いいからお前もじゃんじゃん呑めよ!」
「そうよ、紗和ちゃん。今日は渡部くんの奢りなんだから!」
「おい!」
さっきからグラスが空くことがないくらい呑んでるんですけど、と思いながら今来た焼酎に手を伸ばす。