あめあがり、かたおもい
これで、教室には、あたしと先生の二人きり。
どきん。どきん。と、体じゅうが鼓動でふるえて、どうにかなりそうだ。
「それで、話って、なんだろう?」
先生のおだやかな声が、あたしに尋ねる。
いま告白してしまったら、もう、想い続けることはできない。
逆に伝えなければ、きっと見つめているだけの恋は続けられる。
でも……恭平に“ちゃんと言う”って約束したじゃない。アイツはきっと、振られたあたしを慰めるために、いつまでも待っててくれる。
恭平は意地悪でズケズケ物を言うけど、最終的にはいつもあたしの味方になってくれるのだ。
そういえば、あたしが先生に想いを寄せていることも、こっちから言わないのに気づかれていたんだっけ。
そんなに態度に出してるつもりはなかったのに、昔からの付き合いだから、やっぱりわかっちゃうのかな。……恭平には、かなわないや。
恭平に負けを認めたような気持ちになるのと同時に、あたしは覚悟を決めた。
すう、と息を吸って、まっすぐ先生を見つめる。
「あの、あたし……じつは、先生のこと……」