あめあがり、かたおもい







『ごめん。なんとなくは、気づいていたんだけど……』


やっぱり。恭平の言ったことは、間違ってなかった。


『きみの気持ちには、こたえられない』


まっすぐな断り方が先生らしいなと思った。

あたしは、そんな先生だから、好きになったんだもん。

だから……先生を好きになったことに、後悔はない。けど。


「……っ。きょう、へい……」


ひとりで失恋の痛みに耐える強さはなくて、あたしは涙声でその名を呟きながら、幼なじみの姿をふらふら探す。

でも、自分たちの学年の靴箱にその姿はなく、どうしてか一個下の学年の靴箱のところで、見慣れたその姿はあった。


「きょうへ……」


呼びかけた途中で、彼がひとりじゃないことに気づく。

あれ? 誰か、女の子と一緒にいる……。

次の瞬間、彼と向き合っている下級生らしき女の子が、真っ赤な顔で言い放った。


「……あの! 私、先輩のことがずっと好きでした! もしよければ付き合ってください!」


あたしは見てはいけないものを見た気がして、靴箱の陰に身を隠す。


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