あめあがり、かたおもい


うそ……恭平が、告白されてる。どうしよう、出るに出れない。っていうか恭平、なんて返事するんだろう……。

ちら、と陰から様子を窺うと、恭平がものすごく申し訳なさそうに女の子に頭を下げていた。


「……ごめん。俺、好きな人がいるから」

「彼女さん……いるんですか?」

「や。片思い……しかもその相手も別の相手に片思い中っていう残念な感じなんだけどね」


そうなんだ……。初めて知る事実と、それを語る恭平のおどけたような声が逆に切なくて、あたしは人知れず胸を傷める。

そんなの、全然知らなかった。好きな人がいるなら、あたしの告白練習なんかに付き合わせて悪かったな……。


「……でも。片思いのつらさ知ってるからこそ、そいつの片思いも実ればいいなって思ってる。好きなのに矛盾してるんだけど、まあ幼なじみってこともあって、友達としてでもそばにいられればいいかなって」


おさなな……じみ。それって……。

恭平の思い人に心当たりがありすぎて、あたしは今度こそ本当に、靴箱の陰から出られなくなった。


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