あめあがり、かたおもい
「って、聞かれてもないことをペラペラとごめん! でも、気持ちは嬉しかった。ありがとう」
「いえ、こちらこそ……先輩、その人のことが本当に好きなんですね。個人的には、先輩がその幼なじみさんと結ばれることを祈ってます」
「……うん。ありがとう」
恭平の照れくさそうな声のあと、女の子の足音が遠ざかっていくのが聞こえて、あたしはどうしようと慌てる。
今ここに来ました! みたいな空気出して声かければ平気? でも、恭平の顔見たら普通の顔できる気がしないよ。
あたしは靴箱にもたれて、その場にぺたんと座り込んだ。
恭平がどんな気持ちであたしに“がんばれ”と言ったのか。
そして、その気持ちをずっと隠したまま、あたしを慰めようとしてくれてたんだって思うと……罪悪感で胸がいっぱいになる。