あめあがり、かたおもい
「しかし遅えな。もしかして上手くいって……って、うわ! 雛! いつからそこに!」
そのうち恭平があたしを見つけて、おおげさなリアクションで驚いた。
「恭平……」
情けなくまゆげを下げるあたしを見て、恭平までつらそうな顔になる。
『そいつの片思いも実ればいいって思ってる』
さっき、下級生の女子に話していた言葉は嘘じゃないんだと、その表情ですぐにわかった。
「結果は……って聞くまでもなさそうだな。泣くか? ハンカチとかお洒落なもんはねーけど、でっかいタオルなら俺確か……」
必死にカバンを探る優しい幼なじみに、あたしは首をフルフル横に振って立ち上がった。
ありがとう、恭平。そう、声に出して伝えなくちゃ。
「……あり、がと」
「え? 何だよ改まって、べつに大したことして……あ、お前、もしかして、さっきの聞いて……!」
あたしは声を出さずに、ただコクンとうなずいた。みるみるうちに耳まで赤くした恭平だけど、そのうちゴホンと咳払いをしてあたしの頭にポンと手を置いた。
「そのー……まあ、あれだ。片思いは、つれえよな」
「うん……そう、だね」
「でもちゃんと告白した分、雛のほうがすげえよ」