愛すべき、藤井。

藤井の傍で笑っていたいから



【夏乃side】



確かに、最初に藤井から手を繋いでくれた時はドキッとしたけどさ。


自分からいつも通りの藤井がいいって言ったけどさ。


「夏乃……ぶっ、くくっ、お前 バケモノじゃん!」

「うるさい!誰のせいだと思ってんだクソ野郎」


あんまりじゃないか、藤井。

せっかく軽くメイクして、お気に入りのワンピース来て、髪はゆるくお団子にして来たってのに。


「夏の思い出にはこれくらいのインパクトが必要だろ?」

「いや、全然必要ないから!」

「水も滴るなんとやらだって」


あれから海に着いた私と藤井は、すっかり2人ではしゃいでしまった。


私と藤井の間に『ロマンチック』とか『ムード』なんてものはやっぱり微塵もなくって、


『おりゃおりゃおりゃおりゃ〜〜〜!』と謎の掛け声と共に両者譲らぬ水の掛け合い。


そりゃもう自分がワンピースだってことも忘れて。


頭から爪先までビショビショになった私の顔からはメイクが落ちて『バケモノ』とか言われる始末。

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