愛すべき、藤井。

それくらい、藤井は私の近くに……心の中にいる。


だからこそ、私は決めたよ藤井。


「これからもずっと、友達でいてね」


アホすぎる藤井が、どうしようもなく鈍ちんな藤井が、もし『恋』の意味とか『好き』の意味とか、その他諸々の感情をもっとちゃんと分かる日が来たその時は、


「……あったりめーだろ」

「偉そうなのが気に入らないんだけど」



また、告白してあげてもいいよ。
ほら……夏乃様って、心が広いからさ。


「俺さ〜」

「ん？」

「夏乃がいてくれて良かった」

「……っ」

「転校してきて1番良かったって思えるのは、今考えても絶対。お前に会えたことだわ」


……ジーンとして、涙が出そうになる。
ほんっと、後先考えずに放つその言葉の威力を考えろよ、藤井。


そんなの、今まで1回も言われたことないのに。なんで今よ！なんでこのタイミングでだよ。


もっとさ、どんなに頑張っても私には脈がないんだな！って思えるくらいこっ酷く振ってくれた方がよっぽど楽だよ。


まぁ、それが出来たら藤井は藤井じゃないんだけどさ。こんな藤井を好きになったんだけどさ。