愛すべき、藤井。


「お?伊藤……随分楽しそうだな?」

「ぐっ」

「本当はギャグ路線で行こうと思ってたんだ、想像してみたら予想以上にどぎつくてな」


え?それは……藤井のシンデレラの話??
そうでしょ?先生もそう思ったでしょ?どぎついんだって藤井のシンデレラ!

良かったぁ。見たくないと思ってたんだよね。



の、意を込めて「うんうん」と頷く私に先生は目を輝かせて続ける。



「だから、伊藤 お前シンデレラやれ」



ん?


……え?



「……はぁ???!」

「大丈夫だ。シンデレラは磨けば光るようなヤツが適任だと思ってたんだ。まさに伊藤……ピッタリじゃねぇか」


……磨けば光るような??
……まさに私がピッタリ???


おい、何悪びれもせずに失礼抜かしてくれてんだよ!!誰が普段は灰まみれだ!!おとといきやがれタコ野郎!!


「嫌です!無理です!拒否します!」

「……お前に拒否権なんてねぇから(イケボ風)」

「…………オゥエェエ」

「吐くな伊藤ゴラァ!!!」


やめておくれよ。
何そのイケメンしか言っちゃいけない言葉を、このデスボイスに乗せてお届けしないでおくれよ。


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