愛すべき、藤井。


言っとくけど、先生。
アナタあれだからね!ブス専の中ではかなり支持率高いだろうな〜って顔だからね?察して。



「とにかく。決定だ、伊藤」

「嫌です」

「伊藤がいいやつ拍手〜」



───パチパチパチパチ



「は?ちょ……いじめかよ!みんな!自分がやりたくないからって!酷い!!」



先生の声に巻き起こる拍手。
そんな中、なぜか藤井だけは拍手せずに片手で頬杖をついたまま



「……っ」



私を振り返って軽く舌を出した。


……なによ、そのアッカンベーは。
私のシンデレラは見たくないと???

なんでお前なんだよ、空気読めよ的な?
本当に腹立つ男だ!黙ってじゃがいも食っとけよ、藤井。


「じゃあ、王子役は〜」


拍手が鳴り止み、すぐに先生は王子役へと移行した。え?もう本当に私がシンデレラやるって決まったの?本人の意思は?無視?


確かに、話も聞かずに藤井のTシャツに笑ってた私が悪いけどさ!……いや、全ては藤井が悪いじゃん!!なんで私がこんな目に合わなきゃ……



「……俺やる」

「おぉ!!藤井、お前やる気あるか!」



…………嘘だと言ってくれ。
無理だって、藤井が王子様とか嫌だって。
なに立候補してんの?アホだろ、いや知ってたけど!!


……あぁ、アーメン。
無理すぎる。藤井が王子役とか笑いすぎてセリフ読めるわけないじゃん。白タイツ?白タイツとか履く?あー、無理、本当にそれはお腹痛い。


本当に頼むから、じゃがいも食っとけよ。
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