愛すべき、藤井。


『本当に俺のこと好きなの?』


……って、何それ。

何それ、何それ何それ!!!

私がどんな気持ちで藤井に告白して、どんな気持ちで藤井を海に誘って、どんな気持ちで藤井と友達に戻ろうとしてるか……藤井は何も分かってないくせに。


全然、思いつかないもん。
藤井のどこがこんなに好きなのか。

チャック全開で、鼻くそ付いてて、じゃがいも食べると幸せ感じる藤井のどこが好きか。


そんなの、考えたって分かんない。


だけど、やっぱり遠くに藤井を見つけると嬉しくて、藤井な笑うと楽しくて、藤井が単純クソ野郎な藤井じゃなかったら嫌だなって思うから


どんなに諦めようと心の中で自分自身に言い聞かせても。



───結局、私は藤井が




「俺の前で、油断しすぎなんだよ」

「え……っ」




───グイッ


ハンドルを握ったままの私の腕を軽く掴んだ藤井が、反対の手で軽く私のアゴを持ち上げた。


交わる視線。

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