愛すべき、藤井。
「もちろん、夏乃の良さは私だって藤井だっていっぱい知ってるし、本当に夏乃のこと大好きだけど。私が夏乃に対する『好き』と藤井が夏乃に対する『好き』は同じだと思うわけ」

「うめ、さっきから小難しいよ。もっと簡潔に」


うめの言葉を脳内で噛み砕きながら、眉間にシワを寄せれば、「ふぅ」と小さくため息をこぼしたうめが、急に真面目な顔で人差し指を立てた。


「あったま弱いなぁ!!だから、藤井の夏乃に対する『好き』が友達としての『好き』である以上、このままじゃいつまで経っても、この恋が発展することはないって言ってんのよ」


───グッッッッサ


言うな。言ってくれるなそれ以上。
分かってるんだから!私が1番身をもって知っているんだから。

藤井は確かに私のことを好いてくれている。


でも、それは『女』としてではなく、『友達』としてだ。


「…………ぞんなごど……わがっでるのよ〜〜〜!!う〜〜、だずげで、うめ〜〜」



零れそうになる涙を、下唇を噛みながら必死に堪えてうめに泣きつけば、「おーおーよしよし、誰が泣かせたんだ私の可愛い夏乃を」なんて頭をよしよしと撫でてくれるうめ。


ありがとう、うめ。

大好きだよ、うめ。


でも一つ言わせろ?私を泣かせたのは、紛れもなくお前だようめ。気付け?そこは自覚しろ、頼む。

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