愛すべき、藤井。


藤井は少しだけ不機嫌そうに私を見つめたままで、ヤキモチならいいのに。

なんて、また淡い期待を抱かずにはいられない。


「でも、私そのストーカーに恨み買って刺されたりしたらやだよ?」

『大丈夫、ちゃんと守っから』

「私を守る労力があるなら、そのストーカー1人どうにかできるでしょ」

『出来ねぇ。とりあえず今日から俺の彼女のフリよろしく。放課後は迎えに行くし』

「え!……待って!うちの学校、文化祭期間中だから迎えとか来られても」

『いーよ、待ってる。じゃ、また放課後』

「あ、ちょ…」


───ツーツーツー



……切りやがった。
え、ちょっと待ってよ立花くん。


……私、かなりダルいことに巻き込まれてない?『彼女のフリ』とか。しかも『放課後迎えにいく』とか。



放課後は、ダメだよ。
だって、放課後は……


「立花、何だって?」


───ドキン



電話が終わった私は藤井の問いかけに、思い切り顔を引き攣らせる。




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