愛すべき、藤井。
「あ、……っと、私 立花くんの彼女になりました」
あ、いえ。
正確には『フリ』なんですが。
藤井との放課後は……当分、立花くんとの放課後へ変わってしまいそうです。
「はぁ?」
「本気で言ってる?」
「あ、フリね、フリ!!ストーカーにあってるらしくて、彼女のフリしてくれって」
驚く藤井とうめに、ブンブン手を振りながら必死に答える。って、あれ?私まだOK出してなくない?立花くんって意外に強引なの?
「立花はダメだっつったじゃん」
「……だから、本当に付き合うわけじゃないってば」
「そんなのフリしてる間に立花がその気になるかもしれねぇじゃん」
「……ないない!ありえないって」
藤井が少し私へと近付いて、グダグダも文句を言うのを他人事のように聞いていた私は、
「てか、立花くんがその気なら、そのまま本当に付き合っちゃえば?夏乃、もう高校2年生だよ!ウカウカしてたら青春終わるよ」
うめの言葉に再びキョトン顔。
何を言っているんだうめ、相手はあのかの有名な遊び人の立花くんだぞ???
ないない。
私的にもないし、立花くん的にも絶対ない。