愛すべき、藤井。

「で、夏乃はどうしたいの?」

「どうって……告白を大爆笑されて、散々だったけど、振られたわけじゃないし……諦めもつかないよ」

「なら、まだ追いかけるのね?」

「……でも藤井まじでクソだからな」

「そんなクソを好きなお前も大概クソだろ」

「やめろ、レディに向かってクソって言うな」

「ごめんな、クソ。悪かったよ、クソ」

「話聞いてたかよ、コラ」


とりあえず、もう少し頑張ってみたい。藤井に、少しでも女として1年に3回は意識してもらえるくらいには、せめてなりたいと思ってる。


え?頻度が低い??
いや、これでも割とガチの目標ね。


「おい!夏乃!」


───ドキッ


突然聞こえた自分の名前に心臓が跳ね上がる。

さらに、教室の入口から私を呼ぶ藤井と、その後ろをつづいて歩いてくる神田《こうだ》くんが見えて、心拍数が一気に上昇した。


神田くんは、高校に入ってからの友達で、ふわふわの雰囲気で毒を吐く、珍しい種類の生き物だ。坊主頭で、野球が命!

色はこんがりしてるけど、ふわふわの雰囲気のせいか、どこかひ弱そう。

今では藤井の親友だ。

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