愛すべき、藤井。
「お前ソレ、また俺のボディシート盗んだだろ」
「いいじゃん、1枚くらい。藤井のケチ」
「考えてみろよ!『1枚くらい』の積み重ねが1日に3回あったとして、それが週に5日!15枚!30枚入のボディシートが俺とお前半分ずつの配分で1週間で消えるんだよ」
「くだくだうるさいな〜!分かりましたよ、次から自分で買いますよーだ」
ついつい、藤井のものを私物化してしまうのは確かに私の悪い癖だ。メンズ用のボディシートは女子の体にはあまり優しくない。
スースーして、暑い日にはもってこいだけど、そのスースーがキツすぎて少し寒くなったりする。
「そもそも、メンズ用で体拭く女子がいるかよ」
「ここにいまーす」
「少しは女子力身につけろっての」
───グサッ
『少しは女子力身につけろっての』
いつもの売り言葉に買い言葉だったはずなのに、やけにグサッと突き刺さった藤井の言葉。
女子力か。
私が藤井の恋愛対象になれない理由は『女子力に欠けている』からなのか。
……確かに、寝るとき白目むいてるらしい(母情報)し、スカート履いてても足開いて座っちゃうし、メイクとヘアアレンジは好きだけど、たまーに寝坊してドすっぴんのボサボサヘアで登校するし……、