愛すべき、藤井。
「おい、早く来いよ!!」
もう1人でだいぶ進んだ藤井が、今更私たちを振り返って大声を出す。
そこまで行ったなら先に焼きそばでもなんでも買いに行きなよ、藤井。そう言えばジャガバター売ってるらしいよ、藤井。
じゃがいも……ブハッ
だめだ、やっぱ藤井のあのTシャツやばい。思い出しただけで吹き出す。勘弁しろまじで。
「今行く〜〜!!」
ゆるっと藤井に返事をして、立花くんに手をあげれば、立花くんもサラッと手をあげた。
「坂部もまたな」
「へいへーい」
立花くんを適当にあしらううめもまた、ハイパースルーを極めている1人と見た。
うめと立花くんって全然違うように見えて、実はどこか似た部分がある気がするんだよなぁ。いや……どこって聞かれると分かんないけど、意外に良いコンビなんじゃないかと思う。
……美男美女だから、並ぶとインパクトやばいけど。
そんなことを思いながら歩き出した私は、藤井に追いつきたくて少し早歩き。片想いだけど、こうして藤井と一緒に文化祭回れる……そんな関係が嬉しい。
だけど、やっぱり気になってしまうから、焼きそば食べながらさり気なく聞いてみようかな。
『昨日のアレ……ムカついたから上書き』
あの時の、藤井の言葉はどういう意味?って。もしかして、もしかしたら……私にも脈あったりしますか?って。