愛すべき、藤井。
「……おい!本気でかっぽじんな、やめろ!風に流れて俺に良からぬものが飛んできたらどーすんだよ」

「はぁん?私は藤井さまに忠実に行動したまでだ!有難く浴びとけ!って、そんなことより続き!重要な部分はよ!」


「ったく、」と呟いた藤井が、私のチャリの後ろでコホンと咳払いして、


「友達が大のクロワッサン好きだって話したら、焼きたてタダで食わしてやるから連れてこいって言われてさ……」

「え!!……うっそ!本当に!!?」

「おう!だから、連れてってやるよ。どうせ暇だろ?」


藤井〜〜〜〜〜!!!!
お前、やっぱり最高!!!!

クロワッサン大好きなの、本当に。あの形!あの食感!あのバターの香り!あのほんのり優しい甘み!

もう、考えただけでヨダレ出そう。


でも待て!!


「確かに暇だけど、どうせ暇だろってどうかと思うよ、藤井」

「だって、毎日 毎日ただ俺と真っ直ぐ帰るじゃん。放課後にお前が予定ある日なんて、俺が知ってる限りないよ、お前」


やっかましい!!!!

それは、ほら!あれじゃん。
放課後は藤井と少しでも一緒にいたいから、放課後に予定があっても、とりあえず藤井を家まで送ってから遊びに行ったり、買い物行ったりしてるんじゃん。


いや、言わないけど。言えやしないけどさ。

てか、気にしてなかった私も私だけど、本当に告白したの?ってくらい普通じゃん、私たち。

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