愛すべき、藤井。



ファミレスに入り、呑気に2人でパフェなんか注文して、届いたパフェに目を輝かせる私たち。


さっきまでの緊張感はどこへやら、今は目の前のパフェにはしゃいでインスタに載せる用〜!と、香織ちゃんが写真をとっているのを見て、女の子だな〜と微笑ましく思う余裕すらある。



「で、本題なんですけどね?」


その前に、ため口で話してもいいかな?と確認してきた香織ちゃんに、断る理由も見つからなくてコクンと頷いた。


そんな私に、やっぱり香織ちゃんは柔らかく笑う。



「自己紹介まだだったよね!知ってるかもしれないけど、私 絢斗くんとは中学の同級生で、松野 香織(まつの かおり)って言います。

今は2駅隣の女子高に通ってるんだ」

「私は伊藤夏乃。藤井とは中3から一緒で」

「うん、絢斗くんから聞いた!絢斗くんってば、夏乃ちゃんの話ばっかりするから、てっきり2人付き合ってるんだと思ってたの」

「え……?」

「私は中学入ってからずーっと、絢斗くんのこと好きでね。てっきり両想いだって思ってた矢先に、絢斗くんなんにも言わずに転校しちゃって」



───ドキッ



再び心臓が加速する。
あー、やっぱり……そうだよなぁ。
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