愛すべき、藤井。
「わー!やっぱり!私、危うく絢斗くんのせいで損するところだった」
「ほんと、全部藤井のせいだよ!」
香織ちゃんの言葉に私も続いて2人で笑い合った。あーあ、全部……私の誤解だったってことかぁ。
香織ちゃんには、本当に悪いことしたな。
こんなにいい子なのに、勝手にヤキモチ妬いて。
ううん。
そう思うのは、香織ちゃんが藤井を好きじゃないって分かったからだ。
……私って、ほんとどうしようもない。
「あとね、夏乃ちゃんに良いこと教えてあげる」
「いいこと?」
「絢斗くんにね?再会したあの日、LINEで彼氏がいることを報告をしたら『おめでとう』って言ってくれてね!逆に絢斗くんは彼女できた?って聞いたら」
「……聞いたら??」
え?なに、もしかしてライバルは他にあり?
香織ちゃんじゃなくて、誰か他に藤井の口から名前上がったりした??
だとしたらそれこそ勝てないよ。
あんな鈍感な藤井の口から、わざわざ名前を挙げてもらえるような子がいるんなら、
もう、私絶対むり。勝てっこない。