愛すべき、藤井。
え?例えが微妙?
そこは察してよ。バカなの、私バカなの!だから英語の朗読の時間が1番ヒヤヒヤしてんの!!!


「まっさか!びっくり!!」

「え……?」

「何だよ、みい」


そんな私と、隣でだるそうにポケットに片手を突っ込んで立っている藤井を交互に見る店員さんはどうやら『みい』さんと言うらしい。



「だって、まさか絢斗が女の子連れて来るなんて思ってなかったんだもんよ!びっくりしちゃった」

「お、女の子……」


藤井には、私が女の子に見えてないんですよ!心で思っていることが、やっぱり口には出せないくらい緊張している私を差し置いて


「バーカ、これのどこが女に見えんだよ!今だってここまで俺を乗せてチャリこいで来たぐらいだぞ?ハイパワー」

「はぁ?それは藤井が毎日 毎日 私にこげって言うからでしょーが!」

「だって、俺より体力ありそうじゃん」

「私だって女の子なんだからね!!ほんと、いつか倒れてやる!絶対倒れてやる、今決めた、まじで決めた!!」


───ハッ


しまった。
やってしまった。


つい、いつもの癖で言い返してしまった!!これじゃみいさんにも『女子力のないやつ』と思われたに違いない!


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