愛すべき、藤井。
また、あの毎日が戻ってくる。
そう思っただけで、どうしようもなく幸せだと思った。
やっぱり、私は藤井しか好きになれないんだ。
アホだけど、私の中ではすごい良い男で、藤井を上回るヤツなんて、絶対に現れない。
藤井の傍にいる時の自分が、1番女の子してると思うし、藤井の為に可愛くなりたいって思うし、藤井がいるなら、何だって頑張れるって思うし、
藤井だから、私でいられるって思う。
───キキィッ
チャリのブレーキ音に顔を上げれば、今日はちゃんとブレザーの下にパーカーまで着て、防寒バッチリの藤井と目が合った。
「おう」
「……おう」
片手を上げて笑った藤井に、一瞬で昨日の事がフラッシュバックして、少し恥ずかしくなった。
「チャリ、風がモロに顔面に吹き付けてきてマジさみぃ」
「良かったじゃん、藤井の浮腫んだ顔を引き締めてくれるかもよ」
「はぁ?なら夏乃も引き締めた方いいんじゃねぇの」
───ブニッ
「いだいっ!!」
チャリに跨ったまま、私の頬をつねった藤井に、渾身のブス顔で対抗すれば「ブッス」とか言って吹き出しやがった。