愛すべき、藤井。
***
「おっは〜〜!あれ?今日は仲良く登校ですか?」
「おはよ、うめ」
「おーっす」
教室の入口でちょうど登校してきたばかりだったらしいうめは、私と藤井を交互に見るとニヤニヤ口元を緩めて、
「やっぱり、あんた達はお似合いだよね。2人揃うと最強だよ、アホオーラが」
「…………ね、藤井」
「……おう」
「今の、褒められたの?」
「アホ、完全に貶されただろ。今俺ら最強のアホに認定されただろ」
「やだ、マジないわ。藤井は最強アホ伝説とか語れるかもしれないけど、私は至って可愛い普通の女の子だわ」
「……そういうとこだよ。2人の会話がコントにしか聞こえないから。至って可愛い普通の女の子とかギャグかって」
おい、うめ!!!
なんで、なんでそこだけ拾った??
至って可愛い普通の女の子でしょ!!!
「確かに、そこはギャグだろ」
「藤井までっ!!」
「でも、夏乃シンデレラやった後から人気急上昇らしいじゃん?」
「へ……?あぁ……んー」
「は?聞いてねぇし、何だよそれ」
少し眉間にシワを寄せた藤井に、
「シンデレラ姿の夏乃ちゃんに惚れちゃったメンズがわんさかいるっぽくて、ここんところ呼び出し多いのよ〜」
うめがザックリ説明すれば、藤井の顔が益々曇る。そういうところ、本当に思わせぶりだよ。
分かってるつもりなのに……それでも期待せずには、いられないんだもん。