愛すべき、藤井。
お願いします、美和子さん。


気づいたならそっとしといて下さい!!


何でもします。何でもしますから。


「クロワッサン、あと15分くらいで焼けるから食べてって!あっちのテーブルに案内するわ。オレンジジュースでいい?」

「っ、あ……クロワッサンか!!あの、美和子さんありがとうございます!ぜひ、頂きます」


びっくりした。

心臓のドキドキが止まらない。


別に藤井には私の気持ちバレてるのに、なんかこう、第三者から改めて「藤井のこと好きなの」って言われたりしたら、恥ずかしくて死ぬかもって思う。


男女の友情論は成り立たない……か。


それこそ……私はずっと成り立つと思ってた。小学生の時から周りにはいつも男子がいたし、女子といるより気楽でいいや〜なんて思ってた。

男と女の間でも『親友』って言葉は使えると信じて疑わなかった、のに。こうして今、藤井を好きな私がいる。


それはつまり、男女の友情論は成り立たない。と、証明してしまったようなものだ。

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