愛すべき、藤井。
「なに?夏乃ちゃんは何のことだと思ったの?」
再びニヤッと笑って、私に何か言いたげな美和子さんは絶対に私の気持ちに気づいてる……いや、気づいてないか?私の考えすぎ……?
「あ、いえ……!こっちの話です」
両手を小さく左右に振りながら、なるべくおしとやかな笑顔で微笑んだ私に、美和子さんは抜かりなく微笑む。
「ふぅん……その話、後で詳しく聞こうかな」
「え、それはちょっと…!!」
「クロワッサン好きなだけ食べていいから、ね?」
「あーうーー!!」
あぁ、美和子さん。
私たち初対面ですよね?
この話をするのは少し早すぎると思うんですが!しかも、クロワッサンで私を釣ろうなんて全くけしからんですよ。
ぜひ語らせてください。
「なんだよ、お前ら。さっきから何の話してんだよ」
「うっさい、藤井」
「ガキは黙っとけ、絢斗」
「はぁ?お前らなー!なんだよ、ほんとに初対面かよ、は?」
でも、美和子さん。
何ででしょう。何だかとっても、仲良くなれる気がするのは私だけですか。