愛すべき、藤井。



「伊藤……だめ、俺死ぬかも」


私のスカートの裾をキュッと掴んで、弱々しく心細そうに声を出す立花くん。



「もう……」


……ほんっと、立花くんってバカなの??
こっちの気も知らないでさ!!


いくら高熱にうなされてるからって、そのあざとさを私に発揮したところで、通用しないからね。


本当は今すぐ藤井のこと、追いかけて誤解といて……それで、



藤井だけだよって。
藤井しか見てないよって、言いたいのに。



「……立花くん、せっかく藤井が水持ってきてくれたから、薬飲んでから寝なよ」



こんなに弱ってる立花くんを残して、藤井を追いかけるなんて私には出来なくて。




……だけど、苦しくて涙が止まらない。




私と立花くんのこと何か誤解して出てったの?
それとも急用を思い出したとか?
……突然、お腹痛くなったとか??


いろんなことをグルグル働かない頭で考えては、やっぱりポロポロと涙が零れて、制服のスカートの上にシミを作っていく。


藤井のバカ……どこいっちゃったのよ。


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