愛すべき、藤井。
まだ熱があるのか、頭がボーッとして思うように声が出ない私のすぐ側までやってきた藤井は
「なぁ」
小さく、低く。
唸るような声で私に問いかける。
「なんで熱とかあげてんの?」
「……なんでって、て言うか藤井こそなんでうちにいるわけ?」
「立花から移った?」
「……ちょっと、私の質問」
自分の質問ばかりで私の質問に答えてくれない藤井は、少し不機嫌そうな顔して、さらに続ける。
「……移るようなこと、したんだ?」
「……っ、は?」
「違うのかよ?」
「た、立花くん高熱だったんだよ?なんでそうなるわけ?……信じらんない!最低」
藤井にしてはやけに毒のある言い方に、そのいい様に、つい頭にカッと血が上って言い返せば、藤井の瞳が一瞬哀しそうに揺れた。
「あ〜!くっそ……違う、ごめん」
かと思えば、ベッドの脇に力なくしゃがみこんだ藤井が、何か葛藤しながら弱々しく謝ってくるから、いつもと違う藤井に戸惑いながらも私はベッドの上でゆっくりと体を起こした。