愛すべき、藤井。
「で、藤井くんはどうしてうちにいるんですか?」
黙りこくって何か考えている藤井に、かなりダルい体に無理言って口を開く。
「……家の前で夏乃のこと待ってたら、夏乃の母さんに会って、熱があるって聞いたので、頼んで入れてもらいました」
「……今日は迎えに来てくれないと思ってた」
「本当は迷った……けど」
「……けど?」
下を向いたままだった藤井が、不意に私を見上げるから、絡み合う視線に益々熱が上がっていくような気がした。
やけに真っ直ぐ見つめられて、クラクラする。
「会いたかった。……夏乃に、会いたくて仕方なかった」
「昨日、置いて帰ったくせによく言うよ。私、藤井のせいで泣いてばっかりだよ」
そう呟いて、ベッドから降りようとした私を藤井が止めた。
「そこでいい……。そこで聞いて」
「うん?」
相変わらず私を真っ直ぐ見つめる藤井に、私の方が目をそらしたくなってしまう。どうしようもなく、手を伸ばして、触れてしまいたくなる。
熱で火照ったダルい体ごと、藤井に全部委ねて、包まれて眠りたくなる。
藤井が好きだと、叫びたくなる。