愛すべき、藤井。


***


『じゃ、頑張ってこいよ!検討を祈る!』


うめの言葉を思い出して身震いする私。
だから嫌だったんだよ、うめ。

確かに藤井の合コンは阻止したかったし、もし目に異常があって藤井のことがかっこよく見えちゃう子とか参加してたらどうしよう!ってめっちゃ心配だったけど、


でもさ、違うじゃん。


『立花に連絡して、夏乃も今日の合コン参加することになったから』


再びうめの言葉を思い出してはため息をつく。
私が参加してどーすんのさ、うめ。


もちろん、今日の合コンに私が参加することを藤井には言ってない。
って言うか『今日は俺、合コン直行すっから!』なんてルンルンで先に帰ってしまった藤井に呆れて言う気にもならなかった。


もし私と藤井の出会いが中3じゃなくて、今日の合コンだったら、私にも少しは希望があったかな?


あ、無理か。そもそも顔が好みじゃないんだったわ、致命的。


重たい足で、何度も何度も引き返そうかと悩む。でも、合コン中の藤井が気になるし、行かなきゃうめに怒られそうだし、立花くんにも悪い気がする。


色んな理由を見つけながら、やっとの思いでたどり着いたのは安定のカラオケ店。

学校から一番近い、言ってしまえば『いつもの店』だ。藤井とも何度も来た『いつもの店』。
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