愛すべき、藤井。


今更になって、やっぱり後悔してる。
まんまと来ちゃったけど、この合コンに参加する女子勢とは全く面識がないし、

藤井は私が来ることを知らないし、知ったところで新しい出会いを求めている藤井は、私の隣になんか座ってくれないだろう。


……と、なれば。

この失礼極まりない立花くんが私の隣にいてくれなきゃボッチ確定ってわけだ。


むむむ。実に厳しい。


「難しい顔してどうかした?入るけど」

「おっしゃ、バッチコイ」

「ほんと、変なやつだな」


これからの読めない展開にヒヤヒヤしてる私とは裏腹に、やっぱり立花くんは楽しげに笑う。

サラッと『変なやつ』とか言った?

ほんと、久しぶりに会ったとは思えないレベルで失礼!!



───ガチャッ


立花くんの後ろに隠れて、恐る恐る進むカラオケルームの中では既に男子勢も女子勢も揃ってて「おせーよ!!祐也」と言う男子の声と、美男子立花くんの登場にザワつく女子勢の声が飛び交った。


厳しい。
この状況でひょっこり顔出すのは無理。このまま忍び足で回れ右出来んじゃね?今ならまだ助かるんじゃね?


イチ、ニーの、サンでダッシュかませ、夏乃!!!



───グイッ


「ひえっ?!!」

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