愛すべき、藤井。
「夏乃?」
「っ、」
───ドクンッ
やっべぇ〜!!すっかり忘れてた。
超絶変顔繰り出すレベルで、やっべぇ〜。
心臓が口から出そうとはこの事か。
「は?なんでお前がいるわけ?」
私に気づいた藤井は、立ち上がって私を指さす。そんなに驚いてもらえて本望ですよ、ええ。
しかも待ってよ、もう既に藤井を囲むように両隣には女の子が座ってて、なんかもう萎えた。
やっぱり藤井も男だもんな、そりゃ可愛い女の子とはお近づきになりたいと思うだろうし、彼女作ってエンジョイしたいよね。
って、いやいや!夏乃、怯むな!!相手はあの鈍感バカ野郎だぞ!こんなところで怯んだら、藤井に私の魅力は1mmも伝わりゃしない!!
「わ、私もサマーバケーションに向けて彼氏作ろうかな〜と思って!」
「はぁ?お前……」
言葉を途中でやめた藤井は、私をまじまじと見て止まった。
お?出るか!出るのか?
『お前に彼氏なんかいらねぇんだよ、俺だけ見とけ』的なやつ来る?!来ちゃうのか、藤井!
ほんのり、淡い期待を抱いた私は、キラキラした目で藤井を見つめる。