愛すべき、藤井。

「なんだよ藤井、お前あっちでハーレム楽しんでたんじゃねぇの?」

「あー?んー。ちょっとアイツら香水キツすぎてギブ」

「ふぅん」


立花くんの質問に、曖昧に答えて苦笑いした藤井に私の心のモヤモヤが消えた。

藤井のストライクな子がいなくてよかった!!今日はぐっすり眠れそうだ。


って、私かなり性格悪いじゃん。やだ。


「立花こそ珍しいじゃん」

「俺?」

「いつも1番可愛い子の隣キープしてるのに、今日はよりによって夏乃かよ」


そこまで言って私の顔を見た藤井は眉間にシワを寄せて「な?そう思わね?」と、私に同意を求めてくる。

おい、本人に聞いてくんなよ。
吊るすぞ藤井。

答え次第ではお前も容赦しないぞ、立花。


「藤井くん、それはどう言う意味かしら」

「そのままだけど?」

「あー、その顔!本当に腹立つ、腹立たしさMAX」


無駄に軽くしゃくれて見せた藤井のアゴを、木製バットでぶん殴ってやりたい衝動が襲ってきたわ。


「ぶっ、くく……お前ら本当に仲良いよな」


笑い事じゃないよ、立花くん。
本当に腹立つんだから、この男!!


「まぁ、仲はいいよな?俺ら」

「……っ、知らない!」


サラッと仲良し発言してくる藤井に、複雑な気持ちが勝って、またまた素直に頷けなかった。

こういうところだよな。

こういう時の反応も、もっと可愛くなりたい。そしたらそのチリツモで、藤井の中の私が少しは可愛い存在になるかもしれないのに。
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