愛すべき、藤井。


そんな私に「何で分かんねぇのか分かんねぇけど」と苦笑いを零した立花くんは続けた。


「だから、伊藤が1番可愛いと思ったから俺はここにいるってこと」

「あ、なるほど、私が……は?!私?」



───うそだろ。

そりゃ藤井も目を見開いて驚くわけだ。って、失礼!!藤井かなり失礼。

私の周りには無礼者しかいないわけ??


てか、1番可愛いってどういうこと?からかわれてんの?喜んでいいの?これ、喜んでいい展開??わかんない。立花くんって全然読めない。


「……立花、頼む。眼科行くべ!!」

「おい、藤井!!!」


肝心な藤井はやっぱり私のこと全然可愛く見えて無いらしいけど、イケメン立花くん(かなり意地悪)に、一番可愛いって言ってもらえたのは素直に嬉しい。


ちょっと藤井にドヤ顔して見るけど、怪訝そうに顔をしかめられるだけだった。悔しい。


あれ、私も捨てたもんじゃないんじゃないの?!


ウカウカしてたら、私の方が先に新しい恋に巡り会えるかもしれないんじゃないの?


……いや、待てよ。
私が藤井を好きなイレギュラーであるように、立花くんもまた私が可愛く見えるイレギュラーなのかもしれない。

まじかよ、そりゃないぜ。

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