愛すべき、藤井。
「……おま、は?……先週のアレ、本気だったのかよ」
嘘でしょ。
あんなに真っ直ぐ伝えたのに、本気じゃなくて何があんのよ。猪木か?猪木なのか??あ??
なんだ、伝えたとばかり思ってた『好き』の気持ちは、藤井には本当の本当に1mmも伝わってなかったのか。
だからこんなにも、藤井の言葉は無神経に私を傷つけていくのか。
「分かってるよ、藤井」
「…………」
「藤井が私のこと、女として見てないことも」
「ちょ、夏乃……!」
「こうやって気持ち伝えられて、今の関係壊れるのが嫌だってことも」
「っ、」
「藤井にとって私が『友達』以上にはなれない存在だってことも、ちゃんと分かってるよ」
自分で言っててかなり辛いけど。
これが事実なんだから仕方ないじゃない。
目からはポロポロ涙が溢れて、あーあ……藤井の前で泣くなよ、夏乃。と、頭の中でもう1人の私が呆れている。
「藤井に女として好いてもらえるように、もっと可愛くなろうって頑張ってたのに、合コン行くだの、彼女出来るかもだの、サマーバケーションがどーたら、挙句 何が立花と付き合えば?だ。クソくらえ」
「な、つの……」
泣くか怒るかどっちかにしろ、と言いたくなるほど酷い顔してるであろう私を見て、藤井はただ身動き取れずにいる。
「好きだって、藤井が好きだって言ってんのに……無神経だよ、バカじゃん、ふざけんなっつーの」
「夏乃……俺、」
藤井からは『どうしよう』って感情が手に取るように伝わってくる。