愛すべき、藤井。

藤井に避けられる日々に傷心




***



馬鹿みたいに晴れ上がった夏の空が、土日の間 十分に睡眠を取った私に清々しさを運んでくる。


結局、どんなに考えたって藤井は藤井なのだと、そして私はそんな藤井が好きなのだと言う結論に辿りついたのは、昨日の夜。

寝る前のベッドの中だった。


考えてみれば少し自分勝手だったのかもしれない。私が勝手に藤井を好きなだけなのに、藤井が私を好きじゃないことが少し悔しくて、ヤケになってた……。


なんで気づいてくれないの!って。
なんで私のこと好きじゃないの!って。


きっと、ずっと心のどこかで思ってた。

頑張るなんて口先だけで、何の努力もしてない私が藤井の心を動かせるわけなかったよね。


『もっと頑張るから、女として見てほしい』って、素直に伝えたい。私が素直になることが、私と藤井の恋を進展させる一番の近道かもしれないって思った。


が、しかし。

明日ちゃんと藤井に言おう。そう……思って眠った昨日の私の決意は、今既に崩れかけている。


只今の時刻、朝の8時30分。


かれこれ15分前に準備を終わらせて、藤井が迎えに来てくれるのを待っていた私は少し焦り始めた。


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