愛すべき、藤井。



「ま、無理に聞かないけどさ。藤井も今日ずっと変だから……。なんかあったのかなって」


優しい雰囲気全開の神田くんに少しうるっとしてきた。藤井なんかよりずっとずっと大人な神田くんと話してると、本当になんで私は藤井なんかが好きなんだろうって思う。


神田くんは、藤井に対してだけ驚く程に毒を吐くけど、多分、毒舌っぷりは愛ゆえなんだろうな。



そう思うと、神田くんって不器用なのかなって、少し可愛く思えたり。坊主の見た目からは想像も出来ない、おちゃめな1面を持っている。


「告白して振られた」

「ついに言ったんだ。……で、藤井はあんな態度なわけか。おっけ、しばいとく」

「ふはっ、本当にしばいといて〜!」

「次の授業中、バスケットボール藤井の顔面にシュートしとく」

「待って、それ傑作!見逃せないやつ」


神田くんの本気とも冗談とも取れる言葉に、ジワジワと笑えてくる。


あーあ、ほんっと嫌になるよ藤井!
せっかくこの夏乃様が藤井なんかを好きだって言ってあげてるのに。


避けるのはやめて欲しいよ、結構しんどいから。
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