愛すべき、藤井。
Episode Ⅱ

夏乃のことは好きだけど《藤井side》

【藤井side】



『ねぇ、藤井』



口癖にも近いそのフレーズで俺を呼ぶ、かなりサバサバ女子の夏乃は、俺にとって多分……いや、絶対に1番仲の良い女友達だ。


気が合って、好みの音楽も似てて、泣ける映画を見に行っては2人で泣いて、テストのストレス発散って名目でカラオケに行っては喉を枯らして帰る。


一緒にいると時間を忘れて騒いでて、遊びに行くと確実に家に帰るのが遅くなる。



夏乃がこぎで、俺は後ろで総監督、気が向けば俺がこぎ。そんな感じで朝と帰りは基本一緒に帰ってる。


これが、安定の俺らの毎日。


男だとか女だとか関係なく、人としてすげぇいい奴だと思うし、サバサバしてる分、接しやすくてつい行き過ぎた事も言っちまうけど


それすらもジョークで返してくれるような、そんな一緒にいて居心地がいい関係。



夏乃になら、無理にかっこつける必要はねぇし、本当に素の自分でいれるから楽チンなんだよなぁ。まぁ、夏乃も多分 俺に対して同じこと思ってると思うけどさ。



本当に出会ったばっかの頃は俺が転校生だったってのもあって、結構周りに冷やかされたりもしたけど、今じゃ『あぁ、あのアホな2人組な』程度の扱いだから、本当に人の慣れって怖ーよなぁ。


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